子宮内膜症ってどんな病気?
子宮内膜症とは、子宮内膜とよく似た組織(病気の原因になる部分である内膜症組織)が何らかの原因(子宮内膜の移植説、腹膜の化生説)で骨盤腹膜、卵巣、子宮の周辺組織に発生します。
これらの部位にできた内膜症組織(病気の原因になる部分)は、月経を繰り返すことにより増殖、出血を繰り返します。
これにより卵巣にはチョコレート嚢胞という古い血液、チョコレート色の液体が入った袋(嚢胞)ができます。
また、腹膜の内膜症病巣は増殖、出血を繰り返すことにより、骨盤内に炎症を起こし、周辺組織との癒着(ゆちゃく:引っつき)をおこします。
これが子宮内膜症で、骨盤内の炎症や子宮・卵巣・ダグラス窩などの癒着(ゆちゃく:引っつき)により激しい月経痛や、月経時以外にも下腹部痛、腰痛などの症状を起こし、不妊の原因にもなります。
最近ではチョコレート嚢胞からの卵巣がんの発生が報告され、注意が必要です。
つまり、1~5のような流れで子宮内膜症が発生し、痛みや不妊の原因になるのです。
1 何らかの原因(子宮内膜の移植説、腹膜の化生説)で内膜症組織(病気の原因になる部分)が発生
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2 月経の繰り返し(女性ホルモンの作用)で増殖、出血
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3 1、2を繰り返して、内膜症組織(病気の原因になる部分)が広がり、大きくなる
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4 内膜症組織(病気の原因になる部分)が出血し、炎症などで周辺組織と癒着する
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5 通常、引っ付いていない部分が引っ付いていることや線維化で硬くなり、引っ張られ、激しい月経痛や、下腹部痛、腰痛などを引き起こす。また、癒着とともに骨盤内が炎症を起こした状態になるために不妊の原因になる
図1 骨盤腹膜、卵巣、子宮の周辺組織の場所
■子宮内膜症ってどんな症状がでるの?
子宮内膜症の症状は主に4つです。
月経痛や月経痛以外の痛み(骨盤痛、排便痛、性交痛)、不妊、卵巣がんです。
月経痛
子宮内膜症をもつ患者様の90%に見られる症状です。
痛みの強さは子宮内膜症の進行の程度とはあまり関係がありません。ごく初期に激しい痛みを起こすこともあれば、骨盤内の臓器が癒着(ゆちゃく:引っつく)しても全く痛みを感じない事もあります。
ただし、ダグラス窩(ダグラスカ)に発生した子宮内膜症は、痛みが強いという特徴があります。
月経痛以外の痛み(骨盤痛、排便痛、性交痛)
月経時以外にも下腹部痛や腰が痛むことがあります。これは骨盤痛と呼ばれます。
また、子宮後壁(しきゅうこうへき)やダグラス窩(ダグラスカ)周辺が癒着(ゆちゃく:ひっつき)すると、排便痛、性交痛が酷くなります。
これは、排便や性交時に癒着や線維化により、引っ張られることで起こります。
不妊
子宮内膜症と不妊症の因果関係は明らかではありません。しかし、子宮内膜症をもつ患者様の30~40%が不妊に悩んでおられることから、密接な関係があると考えております。
卵巣がん
チョコレート嚢胞と診断しても卵巣がん(1~3%)のことがあります。また、072%に癌化することがあることが報告されています。
■子宮内膜症に関係するお話