子宮内膜症の治療方法とは?
子宮内膜症の治療方法には大きく分けて「薬物療法」と「手術療法」の2つの方法があります。
治療は、病気の症状や進行具合だけでなく、年齢や妊娠希望の有無など、患者様のその後の人生設計も考えて選択します。
■薬物療法ってどんな方法?
「薬物療法」には、「対症療法」と「ホルモン療法」の2つがあります。
対症療法
鎮痛薬、漢方薬などで症状を和らげます。
子宮内膜症の痛みを一時的に抑えます。症状の進行を止める効果はありません。
1 鎮痛薬(NSAID)
痛みの原因となるプロスタグランジンの合成酵素を阻害し、痛みを抑える。
副作用として、長期に服用すると、胃潰瘍になることがある。
2 漢方薬
血行をよくするなど、体質を改善して痛みを和らげる。
体質が合わない場合は効果が無いことがある。
内分泌療法
排卵を止めて、子宮内膜症を進行させる女性ホルモンの分泌や働きを抑える。それにより、月経に伴う痛みやその他の症状を改善する。
1 低用量ピル(ミニピル)療法
排卵を抑制し、子宮内膜症の進行を抑え、月経に伴う痛みや症状を和らげる。
喫煙者や高血圧の患者様には使えないことがある。また、まれであるが血栓症が起こることがある。
長期間投与が可能である。
2 偽妊娠療法
卵胞ホルモン・黄体ホルモン合剤を用い人工的に妊娠している状態を作り、子宮内膜症の進行を抑える。無月経(偽妊娠状態)にすることで、月経に伴う痛みや症状を和らげる。
副作用として、不正性器出血が持続的にみられることがある。
投与するホルモン量が多く、長期間投与には向かないので、今では行われていない。
3 ダナゾール療法(偽閉経療法)
男性ホルモン系の薬剤を用い、子宮内膜症を委縮(いしゅく)させる。そうすることで、月経に伴う痛みや症状を和らげる。
男性ホルモンを用いることによる副作用(にきび、むくみ、声が低く、かすれた声になる、多毛など)が起こることがある。
長期間の投与では副作用に注意する必要がある。(最長4カ月間)
4 GnRHアゴニスト療法(偽閉経療法)
女性ホルモンの産生、分泌を抑制し、閉経状態を作り出します。子宮内膜症の発育を抑え、病巣が委縮し、月経がとまる。そうすることで、月経に伴う痛みや症状を抑える。
副作用として、更年期障害の症状と骨塩量の減少が起こることがある。
長期間の投与ができない。(最長6カ月間)
■手術療法とは?
手術療法には「腹腔鏡下手術」と「開腹手術」の2つがあり、これらを行なうことで病巣を取り除きます。
腹腔鏡下手術
・切開が小さい(3~10ミリ程度)ので体への負担が少なく、手術後の回復が早い。
・入院期間が短く、術後数日で退院できる。
・術後、数週間で仕事に復帰できる。
開腹手術
・この病気でお腹を切る(約10~12センチ)ことはほとんどないが、合併症(腸管や尿管の損傷)などで開腹手術を行うことがある。
・腹腔鏡下手術に比べ、切る範囲が大きいので術後の痛みが強く、入院期間も長くなる。
■手術で子宮をどこまで残すのか
卵巣チョコレート嚢胞の卵巣温存手術は術後の卵巣機能低下は避けられないので、患者様の年齢や嚢胞の大きさ、妊娠の希望の有無によって手術の内容が変わります。
保存手術(妊娠を希望される場合)
・卵巣チョコレート嚢胞を取り除く(嚢胞摘出)
・卵巣チョコレート嚢胞内壁の病巣を電気メスやレーザーで焼く
再発するリスクがあるが、妊娠する能力を残すことができる。
根治手術(妊娠を希望されない場合)
・子宮と卵巣を全てとる
再発するリスクはないが、妊娠できなくなる。
「どうすればいいんだろう・・・」
「どんな手術になるんだろう・・・」
という不安があると思います。
そんなときは私にご相談ください。
あなたの悩みに答え、「あなたの場合はこうすればよいですよ」とお返事いたします。
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