不妊症の原因とは?

不妊症の原因を考える際、女性が原因の場合男性が原因の場合の2通りが考えられます。

ここでは、女性と男性の場合に分けてお話いたします。

 

 

■女性が原因の場合

女性の不妊症の原因は、以下のように大きく6つに分けることができます。

ここでは、その6つの因子(原因)を挙げ、それぞれを分かりやすく説明いたします。

 

1、排卵因子(はいらんいんし)

2、卵管因子(らんかんいんし)

3、子宮因子(しきゅういんし)

4、頸管因子(けいかんいんし)

5、免疫因子(めんえきいんし)

6、原因不明

 

 

1、排卵因子

一言でいうと、排卵障害を引き起こし、不妊になっている原因のことです。

 

どんな方が排卵障害に当てはまる?

月経周期が25日~38日型で、基礎体温が二相性でない方(月経不順)

 

排卵障害の原因とは?

高プロラクチン血症:プロラクチン(乳汁を分泌させるホルモン)の分泌亢進が原因

多嚢胞性卵巣症候群:卵巣の皮(白膜)が厚くなり、排卵障害が起こり、嚢胞が卵巣に数珠様に連なる状態を多嚢胞卵巣といい、下垂体からのLH(卵巣刺激ホルモン;黄体化ホルモン)や男性ホルモンの分泌促進がみられる。

月経不順1:大きな精神的ストレス(環境や人間関係の変化など)を感じて起こる

月経不順2:短期間に大幅なダイエットを行なうことで体に負担がかかる

早発卵巣不全:若い(20~30歳台と)のに卵巣機能が低下し排卵されなくなる

 

 

2、卵管因子

一言で言うと、卵管が閉塞するなどし、取り込まれないことで不妊になっている原因のことです。

 

・性器クラミジア感染症

卵管が閉塞したり、卵管周囲が癒着し卵管に卵子が取り込まれにくくなることで不妊症になります。女性は性器クラミジアに感染しても気づかないことが多く、状態が深刻に進行してしまうことがあります。

 

・骨盤内の手術を受けたことがある方

骨盤内の手術を受けた経験がある方(虫垂炎(盲腸炎)など)は、卵管の周辺の組織が癒着を起こしていることがあります。

 

・子宮内膜症

子宮内膜症によって卵管周辺の組織が癒着し、卵子が卵管に取り込まれないことがあります。また、月経とともに骨盤内で出血が起こり、炎症を起こすことが精子や受精を障害するとも言われている。月経痛が徐々に悪化しているなど子宮内膜症の症状(子宮内膜症ページにリンク)に覚えがある方は、一度医師に相談をしてみるとよいでしょう。

 

 

3、子宮因子

一言で言うと、子宮に何らかの問題が起き、着床しにくくなることで不妊になっている原因のことです。

 

・子宮筋腫(その中でも粘膜下筋腫)

月経量が多くて貧血を指摘された方は子宮筋腫の可能性があります。その中でも粘膜下筋腫の可能性があります。その粘膜下筋腫は、子宮内膜へ着床する受精卵の妨げになり、不妊症になります。

また、着床の妨げだけでなく、精子が卵子へ到達するのを邪魔し、不妊症を引き起こすこともあります。

 

・子宮内膜ポリープ

子宮内膜にポリープができ、それが原因で着床が妨げされることがあります。

 

・子宮奇形

子宮がウサギの耳のようになっている子宮で、流産の原因となる。

 

・子宮腔内癒着症

子宮内腔で癒着をおこすことで着床に影響を及ぼすことがあります。原因として子宮内操作(流産後の子宮内清掃術、子宮鏡下手術)が多い。

 

 

4、頸管因子

一言で言うと、頸管粘液量が少なくなり、精子が子宮管内に入りにくくなることで不妊になっている原因のことです。

 

頸管粘液量が少なくなる原因

・クロミッド(排卵誘発剤)などの投与

・子宮頸部の手術

・子宮頸部の炎症

 

 

5、免疫因子

一言で言うと、女性の免疫が男性の精子を異物と認識し、受精を妨げることで不妊になっている原因のことです。

 

女性に何かしらの免疫の異常が起き、抗精子抗体(精子を障害する抗体)精子不動化抗体(精子の運動を止めてしまう抗体)が産生されることがあります。

 

抗体が産生させる場所、場面

・頸管粘液内:運動性が良い精子でも受精が難しい

・卵管内:精子を子宮腔の奥まで注入しても受精が阻害される(人工授精でも同じ)

・受精時:精子不動化抗体により、受精時に精子が卵子と結合できなくなる

 

 

6、原因不明不妊

原因不明不妊は、「何らかの原因で精子と卵子が体内で受精していない」、「何らかの原因で妊孕性(にんようせい)が低下もしくは無くなっている」という2つの原因がなぜ起こっているのか不明な不妊症のことをいいます。原因不明不妊症の患者さまに腹腔鏡検査をすると、半数に子宮内膜症、1/4に腹腔内癒着症が発見されます。

 

何らかの原因で精子と卵子が体内で受精していない

人工授精や体外受精を行なうことで妊娠を促進します。

 

何らかの原因で妊孕性(にんようせい:妊娠する力)が低下もしくは無くなっている

夫婦の年齢が上がるごとに原因不明不妊の割合が高くなる事から、加齢が原因ではないかと考えられています。

統計から、女性の場合は35歳を超えると妊娠しにくくなってくると分かっており、35歳以上で2年以上子どもができない方は、医師への相談をお勧めします。

 

 

 

■男性が原因の場合

男性の不妊症の原因は、性機能障害精液性状低下の2つに分けられます。

ここでは性機能障害と精液性状低下のそれぞれについて分かりやすく説明します。

 

1、性機能障害

性機能障害は、「勃起障害(ED)」「腟内射精障害」の2つがあります。

 

・勃起障害(ED)

ストレス心的問題動脈硬化糖尿病等により、適切に勃起が起きない。そのため、性交渉を行なえない。

特に、糖尿病は軽症でも勃起障害が起きます。症状が重くなると射精障害が起きたり、精液量が減少し適切に射精できずに逆行性射精(精液が膀胱方向に出てしまう)や無精液症(精液が出ない)を引き起こします。

 

・腟内射精障害

勃起はするが膣内に挿入後、射精ができない。そのため、妊娠させることができない。

射精障害は心の問題が大きいと考えられている。

 

 

2、精液性状低下

精液性状低下とは、射精された精液中の精子数やその運動率が悪くなることをいいます。

 

・軽度~中等度

精巣で生産された精子は、精巣上体(細い管)を通り射精されます。

実は、精巣から直接抽出し取り出した精子には運動能力がないのです。

では、精子はどこで運動能力を身に付けるのかというと、精巣上体(細い管)を通る間に運動能力を得て、卵子と受精を行なうことができる精子になるのです。

 

軽度から中度の精液性状低下では、精巣で精子が作られる時精巣上体での運動能力の獲得の時に何かの問題が起き、奇形精子や運動能が低い精子が作られてしまうのです。

 

これは造精機能障害と言われるのですが、その原因によっては外科手術で障害が回復する可能性があります。

 

 

・高度の精液性状低下

高度の精液性状低下とはどういう状態のことをいうのでしょうか?

それは以下の条件に当てはまる場合を言います。

 

高度の精液性状低下の条件(以下2つのどちらかに当てはまる方)

1、精液中の精子の数が通常の1/100以下

2、精液中の精子の運動率が20~30%以下

 

精液性状低下の原因例

・低ゴナドトロピン性性腺機能低下症:造精機能を司るホルモンの分泌低下

・耳下腺炎性精巣炎:おたふく風邪によって起こる

 

 

・無精子症

陰茎から射出された精液の中に、精子が全く見られない状態のことをいいます。

無精子症には、「閉塞性無精子症」、「非閉塞性無精子症」の2つがあります。

 

閉塞性無精子症

無精子症の15~20%。

精巣内で精子が生産されているが、精液中には精子がない。

原因は、先天的な精管の欠損や炎症性閉塞、鼠蹊ヘルニアの手術(そけいへるにあ)などで閉塞性無精子症になることがあります。

 

非閉塞性無精子症

無精子症の80~85%。

精管に閉塞が無いのにも関わらず、精液中に精子がない。

原因は、クラインフェルター症候群(47XXY)やセルトリ細胞単独症、おたふく風邪での精巣炎などがあります。

 

無精子症といっても原因は様々で、手術などによって解決できることが多くあります。

まずは、専門医に相談をしてみてください。

 

 

■不妊症に関係するお話

 

不妊症になりやすいのはどんな人?

 

このページの先頭へ